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こんにちわ。
2019年頃からそろそろ景気後退局面に来る、と言われていましたが結局そうした局面にはならず、結果的には過去を振り返ってみても稀に見るほど殆どの金融商品が値上がりする上昇相場の2019年でした。
米国のSP&500を見ても年始から比べて約30%弱も上昇するなど、投資家にとっては非常に良い結果をもたらした1年だったのではないかと思います。
では景気後退局面は去ったのか、2020年も同様に上昇相場を形成すると想定されるのか?について見てみたいと思います。
2020年の筆者の予想
筆者は2019年のような上昇相場形成とは成らず、2020年のどこかで景気後退局面が来ると予想しています。理由としてはリーマンショックの時と各種の状況が酷似してきており、リセッションに入るための材料としては揃ってきているように感じているからです。
以下にリセッションへ突入すると思われる懸念材料としての理由を述べていきます。
ISM製造業景気指数
ISM製造業景気指数とは米国の製造業界において景気の良い悪いを示す指標になります。米国の製造業は米国経済の基盤になっているとも言われており、こちらの指数と過去に起きた好景気と不景気が時間差で相関がある、とデータがあるため、注目されています。
下記のグラフが該当指数の推移ですが、2018年末頃より下落傾向であり、直近数ヶ月は製造業界においては景気が悪い、と言われる50を下回っていることから徐々にリセッションのリスクが高まっている、と言われています。

長短金利の逆転
通称逆イールド現象とも言われています。平常時は国債の利回りは短期ものが安く、長期ものが高くなります。
例えば米国債の1年ものであれば1年間米国にお金を預ける代わりに2%の金利を貰う、10年ものであれば、10年間米国にお金を預ける代わりに3%の金利を貰う、というような具合です。
リセッションの懸念が高まることにより株式から大量のお金が国債等の安定資産に流れていきます。そうすると長期国債が大量に購入されることで短期と長期の金利が逆転してしまう現象が起きます。
2019年末時点では6ヶ月と12ヶ月で逆転しています。今年の4月・5月頃は6ヶ月と2年物が逆転していたことからやや改善傾向ということが言えそうです。

米国クレジットカード遅延率
米国の家計債務はニューヨーク連銀によれば、2019年3月末時点で約1500兆円となっており、リーマンショック時の約1300兆円を超えています。
さらにこの内訳としては家のローンが最大ではあるのですが、クレジットカードローンが急速に膨らんでおり、その金額は約100兆円と言われています。
この金額が問題なく、支払いが行われていれば特に問題はありませんが、現在このクレジットカードローンの90日以上の遅延率が徐々に増加しています。
クレジットカードのローンは利率が15%などの凄い利率になっていたりするので、一度遅延を起こすと返済不可能になり、その返済不可能な人が増えるとこの100兆円を貸している銀行が大きな問題となり、米国経済全体に大きな影響を及ぼします。
そうしたクレジットカードの遅延率ですが、リーマンショックの際には15%弱であり、今は半分程度ですが、徐々に上昇してきています。こうした値が上昇しているのは次のリセッションの引き金になりかねないので注意が必要です。
レバレッジドローンの増大
米国において低格付け企業への融資額が近年増大しています。これは格付けトリプルB以下の経済的基盤が盤石ではなく、不況時にはデフォルトする可能性のある会社が発行する社債の購入額が増大してきています。
ちなみにトリプルAの格付け社債であれば100年に一度の不況と言われたリーマンショック級が起きてもデフォルト率は0%ですが、トリプルBになると1%前後のデフォルト率になります。
こうした米国の国債がFBIの利下げによって低金利になっていることから通常よりも高金利の低格付け社債が近年投資家の間では人気になっているのです。
この低格付け社債は利率が良いが、何かリセッションが生じた場合に紙屑になる可能性があることから「ジャンク債」や「ハイイールド債」などと呼ばれたりしています。
このようなリスクの高い金融商品を日本の銀行などでも購入している、ということが一時話題にもなりましたが、何かのキッカケでこうしたハイリスク金融商品がデフォルトした場合、該当の金融商品を購入している金融機関を引き金に世界的なリセッションに突入する危険性が徐々に近年高まっている、という状況である、ということです。
赤字企業のIPO実施
通常ベンチャー起業は上場時に最大利益を得る事ができるようにするため、基本は事業を安定させ、企業規模を大きくしてから新規上場させます。しかし、近年は赤字のまま上場する会社が目につくようになっています。
例えばランサーズのように傍目から見るとやや無理矢理IPOしているように見える会社が多発している背景にはこうしたリセッション機運になる前に現在保有している未公開株を株高時に売り抜きたい、という意図が垣間見えるように思えます。
対策
上記で挙げたような問題であったり、何か平素こうである、と想定されている事象の1つでも崩れればなし崩し的に崩れていくことによって世界的にリセッション局面に突入する可能性は高いのではないかなと思っています。
そのためのこうしたリセッション機運が高まっている現状においてはどのように対策すればよいのでしょうか?
基本的な考え方として
- リセッションが生じるタイミングは神のみぞ知る(どんな専門家にも正確な時期は分からない)
- リセッションが生じても数年後には回復する
を念頭に入れておく必要があります。
こうした事からやってはいけないのはリセッションのタイミングで狼狽売りをしてしまう、もしくは売却しなければいけない事象が生じてしまう、という事です。前者は心持ち次第ですが、後者に関してはいかのようなケースが考えられます。
- 株安局面なので買い増ししたい
- 私生活でお金が必要になった
のような状況にしないようにする事がリセッションに向けた現実的に取り得る対策になります。
具体的な対策として簡単なところでは、現状保有している金融資産を現金化しておく事になります。
→ただし、時期は読めないのである程度割り切りが必要になります。
ただし、給与などの定常的な収入があり、リセッション時期においても買い増ししたい、私生活で必要なお金は既に保有すみ、ということであれば、敢えて現金化する必要もないかもしれません。
ちなみに投資の神様と言われるウォーレンバフェットの資産管理会社のバークシャー・ハサウェイも過去最高に現金を保有している状況です。
その他の対策としては保有金融商品が下落しても下落したことによって利益を出す日経ダブルインバースなどの日経平均が下落すると価格が上昇するような暴落時に利益が得られる金融商品を購入しておくことも有効な対策の一つになります。
結論
対策の項目にも記載しましたが、特段リセッション局面が生じたとしても基本的な考え方としては数年後には元に戻ってくる可能性が非常に高い、ということです。その期間は数年なのか、十数年になるのかはわかりませんが、過去の統計を見る限り、元に戻ります。
→逆に永久に上昇局面が続く、という事もなく必ずリセッション局面は来ます。
そのため、ご自身の年齢や現状の保有金融資産状況や日々の収入の多寡や投資スタイルによっても対策は異なってきますが、そうした時期であることを認識しつつ、必要な対策をとっていければなと思います。
何かの参考になりましたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。