コラム

持株会社とは メリット・デメリットと今後について

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こんにちわ。

電通が持株会社へ移行する、という報道がありましたので、持株会社のメリット・デメリットと持株会社を選択する背景について見ていきたいと思います。

持株会社とは

持株会社へ移行する、という事はそれまで複数の事業を行なっていた1つの会社が事業毎の会社と持株会社を作り、会社の体制を変更する事を意味しています。例えば1つの会社でPCの作成、ソフトウェアの作成、電子部品の作成、不動産事業、保険事業、と5つの事業を並行して実施していた場合、これまで1つの大きな会社における5つの大きな部門であったものが5つの会社に独立する、といった事になります。

持株会社にもいくつかの形態がありますが、通常持株会社は事業を持たず、子会社の株式を保有し、グループ全体の方針を策定して子会社に事業の指示を出しています。収益としては子会社からの配当であったり、また権利使用料などを子会社からもらったりしています。

 

持株会社制度の歴史

第二次世界大戦終了前までの日本における経済界はいくつかの財閥が支配しているような状況でしたが、戦後はそうした状況はよろしくない、と経済の発展に向けて自由競争社会とするため、持株会社を禁止としました。

しかし、世界の多くの企業が持株会社として発展を遂げていく中で日本も国際競争力を強くするため、1997年に持株会社制度を解禁し、その数は年数が経つごとに増えてきています。

 

持株会社のメリット・デメリット

1つの会社から複数の子会社と持株会社になる事に対してメリットがあると感じる企業が存在するからこそ、持株会社は増えていますが、そのメリット・デメリットについて見ていきたいと思います。

メリット

意思決定が迅速になる

大きな会社であればあるほど、縦に組織が肥大化しているので承認行為が大変です。

課長承認→部長承認→事業部長→役員→社長

承認のために説明した内容をまともに理解しているのは部長くらいまでじゃないかとよく思いますが、とにかく大きな案件であればあるほど、上役まで承認を得る必要があるため、時間がかかります。

これを持株会社化してしまうため、上記例で言えば事業部長までの承認で次からはOK、という事になるため、非常に意思決定が迅速になります。

リスク分散

持株会社として事業毎に子会社化しておけば損益を出したとしてもリスク分散になります。仮に保険の事業でうまくいかなかったとしても保険の会社のみマイナスであるため、その他の子会社には大きな影響が出ない事になります。

統廃合が(吸収・合併・売却)が実施しやすい

持株会社とする事で不採算事業が明確になります。また、大きな不採算事業がある、と言った場合、その事業だけを切り離すのは大変ですが、子会社化しておけばその会社だけ売却することが1つの会社である時よりも比較的容易に行う事ができます。

また、吸収・合併したい会社があった場合、その会社を自社にいきなり合併するのはかなりの労苦が伴います。しかし、一旦子会社としてグループ傘下に入れてしまえば徐々に制度などを合わせて吸収しても良いですし、保有する子会社のどこかと合併しても良い、という事になるため、対応しやすくなります。

 

デメリット

親会社への不都合な情報の隠蔽

親会社と子会社なので、親会社への不都合な情報は隠蔽する、という事が可能になってしまいます。会社単位で売却されてしまう、という可能性があるため、不都合だと子会社の上役が思えばそうした事をする可能性があります。

傘下企業の連携が難しい

グループ間企業でシナジー効果を生む事もあれば、逆にそれまで1つの会社だったのが、グループ間企業となってしまったことで利用システムが異なるため業務が円滑に進まない等の様々な弊害も生じる可能性があります。

間接部門の費用増大

1つの会社であれば経費や諸物品管理などの間接部門は1つで済みますが、複数の会社になれば複数の会社分だけそうした間接部門が必要となり、その分の費用が増大してしまいます。

 

持株会社の今後

昨今は流行り廃りが非常に早いため、企業の寿命が短くなってきています。そのため、積極的な事業転換が日々必要になってきており、そうした判断力が経営者には求められています。これまでやっていた事業に対していち早く見切りをつけ、これから取り組むべき事業を誰よりも早く見つける必要があるのです。

そうした要求に対して動きが取りやすい会社の形態が持株会社、ということで昨今こうした形態が増えています。結果はどうあれライザップなどM&Aを積極的に繰り返している企業が増えているため、今後もこうした企業形態は加速するのではないかと想定されます。

 

そうしたグループ企業で働くのであれば、自身が所属する事業はこの先どうなるのか?という事をこれまで以上に意識しなくてはいけません。

持株会社から不採算事業だと判断された場合、最悪売却される事が想定されます。そうすると別のグループ会社に移動した際に給与体系や福利厚生や働き方や職場が変わる可能性が大きくあります。

私たちを取り巻く環境は日々変化しているため、1つの会社で最後まで働き、、という働き方ではなく、柔軟に対応出来るように準備しておく事が必要になるでしょう。

 

まとめ

  • 持株会社は1つの会社が事業別に子会社を作り、持株会社が子会社の株を保有した株主になる事
  • 持株会社にはメリットもあれば当然デメリットもある
  • 持株会社は世の中の流行り廃り周期が早くなったことへの企業側の対応策
  • これからは自分が働く事業の将来も考えて働こう

 

最後まで読んで頂きありがとうございます。