コラム

賃金上昇率は据え置き でも配当は増配傾向

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こんにちわ!

ここ数年の賃金の伸び率はほぼ横ばいですが、企業からの配当は増配傾向であることを見てみたいと思います。

賃金が上昇しない理由

企業の計上利益や内部留保が過去最大になっているという事であれば、社員に給料として還元してもよさそうですが、一般企業に正社員でお勤めの方の賃金上昇はここ10年程度でほとんど横ばいといっても良いくらい伸びておりません。

これにはいくらか理由があります。

最低労働賃金は上昇

アルバイトやパートタイムで働く方々の賃金は上昇しています。これは聞き覚えがあるかと思いますが、最低賃金(1時間当たりの賃金)を積極的に上昇している事があげられます。結果的にアルバイトやパートタイムで働く方の収入は増加しています。

これは日本においては正社員と非正社員の待遇差が物凄い大きく、かつ非正規雇用の人数が凄い勢いで増加している事から政府より是正をする流れが強くなった結果だと言えます。

経済格差が大きくなると生じるデメリットについては以下の記事でも述べています。

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雇用維持の風習

日本は欧米と異なり、終身雇用が一般的な社会です。そのため、企業の経営が苦しいと言っても簡単に従業員をクビにすることが出来ません。そのため、一時的に業績が良いとしても簡単に社員の給料を上げてしまうとその先数十年に渡るリスクとなってしまうため、お給料を上げずらい、というのがあります。

また、労働組合も会社とは一時的な付き合いではなく、一生の付き合いであるため、企業経営が苦しい状況に給料を上げて欲しいとは言えなかったり、昇給よりも雇用の継続を望む傾向が強いため、昇給にはつながらない傾向があります。これは国民性と言ってもいいかもしれません。

正社員雇用の拡大

非正規雇用の拡大が問題になっている事から正社員の積極的雇用を促す流れが強くなっています。その一つとして仮に残業を多くしている部署であれば全員定時帰宅とし、その残業代の分でもう一人を雇って業務を回そう、というものです。

考え方としては良いのかもしれませんが、従業員の給料の平均値は低下する事になります。

 

ペイアウトは増加傾向

一方企業のペイアウト(配当や自社株買いによる株主への利益還元)は過去最大となっています。18年は15.3兆円規模で実施されました。これは03年が6兆円だったことから約2.5倍に膨れ上がっています。

つまり企業はここ数十年の傾向としては従業員は一定水準のままの還元であり、株主に対してはより利益を還元しているような状況だったと言えます。配当を支払っている企業数もどんどんと増加しており、上場企業の85%が配当を出しているとも言われています。

このような状況であることを考えれば私達は会社からの給料に期待するよりも企業からの配当を当てにした方が時代の流れには合っています。

ただ、このような状況は株式投資に回せるキャッシュが多い人間がより豊かになる経済格差をより促す状況であるとも言えるため、このような状況を政府がどこまで容認するかは投資する観点では一つの注目ポイントです。

 

企業の配当方針

配当狙いで投資する上で重要なのが、その配当は適正かを見分ける必要があります。利益規模に対して無理のない余剰資金での配当なのか?将来の事業に向けた投資額は十分なのかは見分ける必要があると思います。

一つ例に挙げるならばあれだけ大きな会社のAmazonは無配企業です。しかし、その分設備投資や事業投資を物凄い実施しており、結果的に株価はここ10年で約25倍に伸びました。

日本企業は殆どの会社が配当を出しているような状況ですが、世界的に一流企業となったAmazonのように積極的な投資をして株価自体の価値をあげる、という方策を検討するのも一つの事業戦略だと思いますし、GAFAのような会社が日本からも出てきてほしいなと思っています。

 

まとめ

日本の会社や社会的な流れから企業は賃金は上げずらいが、株主への利益還元は積極的に実施しているような情勢が見て取れるため、自身の昇給を考えるよりもその流れに乗った方が手元で得られる金銭は増える事が想定される。

ただし、経済格差を引き起こす状況ではあるので、政府によるペイアウト引き締めが行われる場合は株価が下落する可能性があるため、そうした懸念も考慮する必要はある。

 

最後まで読んで頂きありがとうございます。