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こんにちわ!
伊藤忠商事がデサント(8114)へTOB(公開株式買付)を行いましたのでこちらを見てみたいと思います。
TOBって何?
Take Over Bidの略称で株式を市場売買ではなく、証券取引所を通さずに市場外で購入価格、購入株数、購入期間を提示して購入する方法です。
- 日本では発行済み株式の33%(3分の1)超を取得すれば、重大な決定事項を拒否できる
- 50%(2分の1)超を取得すれば、社長をはじめとする役員の選任をおこなうことができる
- 66%(3分の2)以上を取得すれば、会社を解散・合併することができる
等が出来るため、主に会社を買収したり、経営権を握るために用いられたりします。
TOBを実施するメリットとしては通常の市場で大量の株式を集めようとすると非常に時間がかかりますし、取得金額が大きく膨れ上がってしまう可能性があります。そのため、短期間に株数を集められ、必要金額も明確になる公開株式買付(TOB)を実施するのです。
また、最低必要株数が集まらなかった場合はそれまであった全ての注文を全て破棄出来るため、中途半端な取得数にもならない、というメリットもあります。
TOBになった株価と株主の取るべき選択
伊藤忠商事が公開株価買付を実施すると公表したため、1/31まで1900円弱だった株価が2/1には公開買付価格である2800円付近まで上昇しています。
当然ですが、市場で1900円で株価を購入出来た場合、伊藤忠商事が2800円で購入してくれることは決まっているため、1株辺り既に900円程度の利益が出るので、買い注文が多くなります。
また、既にデサント株を保有している株主にはいくつかの選択肢があります。
- TOBで伊藤忠商事に売却する
- 株式市場で公開価格付近で売却する
- 何もしないでそのまま保有
1の場合、証券会社を介してTOBを実施します。TOBで売却出来た場合、手数料がかからないため、非常に魅力的な売り注文になります。しかし、一方で伊藤忠商事の希望購入株式数の上限を越えたTOB申し込みがあった場合、売却出来るかどうかは抽選になります。また、希望取得株式数未満の応募であった場合も売却する事が出来ません。
2の場合、1のような売却出来ないというようなリスクは無く、売りの指値注文で2800円近くの値段としても販売可能でしょう。私ならこれを選択してしまいそうです。
3の場合、TOB後に元々の値段に戻る可能性が高いため、基本的にオススメされません。
ただ、今回のケースにおいてはデサントは今回の伊藤忠商事のTOBに対して不信感を抱いており、このまますんなりTOBを成立させるのか?については要注目です。
いずれにしろ、既にデサント株を保有していた人にとっては一夜にして約30%株価が上昇したので、非常に良い結果となった事でしょう。
また、一方の伊藤忠商事(8001)の株価は2/1時点では若干の下落していますが、1%程度の下落のため、現状はほぼTOBの影響はないと言っても良いでしょう。
伊藤忠商事とデサントの関係性
伊藤忠商事はデサントと現在経営方針として意見が対立しているため、今回のTOBに踏み切っています。ニュースを見る限りデサントの筆頭株主である伊藤忠商事はデサントの韓国市場に偏った売上をリスクと捉えており、他市場への進出助言を再三しているにも関わらず、その方針を変更していないことが要因とあります。
しかし、デサント側も伊藤忠商事をよく思っていないため、筆頭株主である伊藤忠商事から別会社の傘下に入るため、様々な方法を模索していた事が今回伊藤忠商事にTOBを実施させた根本的な要因ではないかと推測もあります。
まとめ
- TOBは企業買収や経営権を握るために行われる
- TOBは市場を介さない株式の購入方法であり、大量の株式を購入する際に大きなメリットがある
- 株価はTOBによって公開買付価格まで基本上昇する
- TOBされた株主にはいくつかの選択肢がある
- デサントは今回のTOBを快くは思っておらず、すんなりこのままTOBを伊藤忠商事に許すのかは要注目
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。